住職のお話し

09)『お彼岸』の意味

春慶寺住職

 春秋のお彼岸が近づくと「お彼岸ていったい何?」と素朴な疑問を持つ人も多いと思います。煩悩だらけのこの世『此岸(しがん)』に対し『彼岸(ひがん)』はさとりを開いた仏の世界を指します。サンスクリット語で修行の完成を意味する『バーラミータ』が『波羅蜜(はらみつ)』と音訳され『到彼岸』と漢語訳されたのです。修行が完成して理想の境地の彼岸に到るという意味です。日本で仏教行事として行うようになったのは聖徳太子の頃です。中道(対立を超越した中正な道)を説かれたお釈迦様の教えを守り、昼夜の時間が同じになる春分秋分の日をはさんだ7日間、日常生活を反省して仏道に精進し、清らかな時間を過ごしましょう。『六波羅蜜(ろくはらみつ)』という言葉をお聞きになったことがあろうかと思いますが、人生の苦を克服する次の6つの道標を修行する一週間なのです。
 1日目 布施(ふせ) 他への親切行の奨励
 2日目 持戒(じかい) 自分の短所を知り戒める
 3日目 忍辱(にんにく) 現在の苦しみを我慢する心を養う
 4日目 精進(しょうじん) 自分の長所を知り啓発する
 5日目 智慧(ちえ) 体験によって因果の理を知る
 6日目 禅定(ぜんじょう) 所持万端に対し冷静に対処する
そして7日目、以上を総括して己に修める。この期間に、私という生命を生み出してくださった両親をはじめとする先祖に報恩感謝の心で寺やお墓にお参りします。
 人間常に『六波羅蜜』を実践することはかなわずとも、お彼岸のこの時期、偏りのない中道の精神、報恩感謝の心を持ってご先祖に感謝しつつ、心の修錬に励もうではありませんか。

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東京・永代供養納骨堂の春慶寺Syunkei-ji Tokyo Japan