住職のお話し
10)平和で穏やかな日々が訪れますように
昨年は心温まるニュースもたくさんありましたが、残念ながら、胸の痛くなるニュースが毎日新しく報道され、当事者でない限りその痛みに鈍感になってしまい、どんなに痛ましい事件もすぐに次の衝撃的な事件にかき消されて記憶にうずもれてしまっている有様です。
昨年9月にミャンマーで起こった僧侶と民衆によるデモも、日本人ジャーナリストの方が兵に射殺されるという事件が起き、その瞬間の映像が繰り返し放送されましたが、報道されていたのはほんの10日ほどのことでしたでしょう。当山檀信徒の皆さんからお心を寄せていただき支援しているパラヒタ孤児院は事件のあったヤンゴンからは遠く離れていますので、直接の被害などはありませんが、大乗、小乗の違いこそあれ、同じ仏教を信仰する人々が武力で平和と自由を奪われていることに心が痛みます。「すべての人は輪廻転生を経て必ず仏になれる、この世で会う人は皆仏の化身と思え」、全宇宙の全存在を尊び互いに合掌して拝む、この法華経の精神が一日も早く全世界に行き渡ることを願って、毎朝の読経に励んでおります。
このたび私は『墨田宗教者信徒平和の会』会長を仰せつかりました。仏教のみならずあらゆる宗教者、信徒の方たちと手を携え、関東大震災、東京大空襲で焦土となり数え切れない犠牲者を出したこの墨田区から、全世界に向けて平和を訴えてまいります。毎年3月10日、9月1日には、両国にある東京都慰霊堂で本所仏教会の諸上人と共に慰霊法要を行っております。年々ご遺族は減少しておりますが、私たちは犠牲者の方々に供養の誠を尽くし二度とこのようなことを繰り返さないと毎年新たに誓っております。直接のご遺族ではない方たちにも是非手を合わせにご来場いただきたいと願っています。