住職のお話し
14)災害に対しての支援について
お盆の季節が間近になってまいりました。お盆は、肉体の衣をぬぎ捨て、お釈迦様が常に法を説いていらっしゃる霊山浄土に先に逝った愛するみ魂をお招きし、ご供養する仏事です。出来る範囲で結構ですので同封の挿絵をご参考に精霊棚を作り供物を供え花を手向け香を焚き経を誦し親しくお声を掛けて、ご供養のお気持ちを形に表して下さい。大切にご供養されたみ魂は必ず御守護霊として我々を見守って下さると私は信じます。『ご供養』は我々の御先祖がつちかってきた、世界に誇れる偉大な文化です。私は東京拘置所で罪を犯した人を導く教誨の仕事をしていますが、仲間のキリスト教の神父がこの供養文化をうらやましいと心からおっしゃいます。『モッタイナイ』と共に次の世代に、そして広く世界に伝えていこうではありませんか。
ミャンマーのサイクロン被害について仏縁のシェイン氏からの報告をお伝えします。皆様からお心を寄せていただいているパラヒタ孤児院のあるミャウンミャ市は奇跡的に大きな被害を免れましたが、人口四万の同市がエヤワディ管区の被災難民三万人近くを受け入れ、その衣食住を政府からの援助なしに市民ボランティアで支えている現状です。被害が少ないとはいえ百二十の学校がほぼ全壊し、再建の目途が立ちません。春慶寺では皆様からのご支援をもとに無憂花(むゆうげ)募金を立ち上げました。お釈迦様のお母様マヤ夫人が里帰りの途中立ち寄ったルンビニー園で陣痛を起こされた時、この無憂の木があたかもお産を手助けするかのように枝をさし伸ばし、右の脇腹より楽に釈尊が誕生したと仏伝に記されています。この木に咲く無憂花をミャンマーでは『悲しみを無くす花』として尊びます。シェイン氏が前回帰国した時には既に皆様から寄せられている中から千ドルと子供用衣類ダンボール二箱持参してもらいました。今回の千ドルは小学校の椅子と机に使ってもらうことにしましたが、今後の復興支援には息の長い活動が必要になってまいります。引き続きご支援よろしくお願い申し上げます。インターネットで『ミャンマーのタイムリー情報』を検索していただくと、シェイン氏の報告が掲載されていますので、ご覧下さい。
続いて起きた中国四川省の大地震について一言申し上げます。大正十二年九月一日に起きた関東大震災のときに、中国で仏教会の僧侶たちを中心にアジアの同胞日本を助けようという一大運動が起こり、沢山の基金と物資が日本に寄せられたこと、また十万の魂の慰霊の為中国様式の鐘楼が上海の王氏より東京市に寄贈され、現在も東京都慰霊堂境内の一角にその鐘楼が残っていることを皆様はご存知でしょうか。王氏の御子孫は今も毎年慰霊の鐘をつきに訪れています。私たちは今こそ中国四川の人々に恩返しをする時ではないでしょうか。仏教はインドで起こり中国・韓国を経て日本に伝わりました。日蓮聖人はこの三国への恩を忘れてはならない、将来この恩に報うのが日本の仏教者のつとめであるとおっしゃっています。わたしも一仏教者としてささやかながら被災者の方への援助に取り組んでまいります。
情けは人の為ならずと申します。困ったときはお互い様の気持ちをそれぞれが今よりもう少し広げると平和な住みよい世界になるはずです。
南無妙法蓮華経