住職のお話し

16)病気であっても病人でない人

春慶寺住職

 皆様よい一年を送られましたでしょうか。『よい一年』、人によってとらえ方は色々でしょうが、多くの方は『健康』を第一に挙げられます。しかしながらお釈迦様のおっしゃるとおり、この世に病気にならないという人はいません。お釈迦様ご自身も最後はご病気になられ、肉体の苦しみを経て入滅なさいました。私は、この寺に来られる大勢の方とお会いして、『病気』とはなんだろうと考えさせられます。『こんなに具合が悪いのに、お医者様はなんともないとおっしゃるんです。』と、本当に苦しそうに訴える方がいます。一方、いつも笑顔でとても明るくお元気な方とじっくりお話をした時に、その方が大変重いご病気と現に戦っておられることを知ることもあります。どちらも『病気』をいただいているのですが、『病人』になる、ならないの差があるように私は思います。誰でも病気にはなりますが、病人にならない、ということはできないものでしょうか。難病の為に全く体の自由が利かない方が、素晴らしい詩を書いたり絵を描いたりしていることを知る時、この方は病気ではあるが病人ではないのだと思いました。余命僅かの宣告を受けた方が、その命の燃え尽きる最後まで『いのちの授業』を続けた本を読んだ時、やはりこの方も病気ではあるが病人ではなかったと思えてなりませんでした。
 ご病気あるいはご高齢でもお元気にしていらっしゃる方に共通するのは、『笑顔』であるようです。おかしくもないのに笑えるか、と言われそうですが、人間、楽しいことを考えると実際免疫力が上がるのだそうです。これはかなり権威のある医学雑誌にも載ったのだそうですので、本当のようです。笑うのには一銭のお金も要りませんし、誰かに月謝を払って習う必要もありませんから、どうでしょう、ちょっと試しに笑ってみませんか。

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東京・永代供養納骨堂の春慶寺Syunkei-ji Tokyo Japan