住職のお話し

34)モンゴル無憂花基金活動の報告

春慶寺住職

 皆様からお心のこもったご寄付が寄せられている「無憂花基金」を活用した、モンゴルでの活動のご報告をさせていただきます。
 西暦350年頃に亀茲国現在の新疆ウィグル自治区クチャ県に王族として生まれた鳩摩羅什は幼くして母と共に出家し、国を滅ぼされてまでもサンスクリット経典の漢語訳に命を懸けたのです。民族固有の文字を持たなかった我々日本人の先祖は、千四百年余前より優秀な頭脳と高い志を持った多くの若者を遣隋使、遣唐使として中国の都に送り、漢字と仏教を命がけで取り入れようとしました。日本海の荒波を渡る途中で、多くの人命と何年にも亘る勉学で得た貴重な文献が海中に沈むという悲劇が繰り返されましたが、そのような苦難の末に得た経典は日本の国政の礎となり、その教えは今なお日本人の心の根底にしっかりと根付いています。日本に現存している最古の書物は、西暦615年に聖徳太子によって書かれた「法華経義疏」と言われます。聖徳太子は平和と文化の基礎は仏教にあると洞察して、日本において仏教の普及に一生を捧げられました。聖徳太子が法華経をもとに日本文化の興隆に務められ、爾来法華経の精神が日本民族の生活の中に浸透して日本人の血肉となってきた事は、日本の古典文学を繙けば能く解ります。
 モンゴル族は熱心な仏教(ラマ)徒の多い国でしたが中国ソ連によって国を分断され厳しい宗教弾圧によって寺院を破壊され多くの宗教者が粛清されました。近年ようやく仏教が復興し、現在若い僧侶たちが熱心に布教に励んでおります。私はここ数年何度かモンゴル国、中国新彊ウィグル自治区などを訪れる機会に恵まれ、彼らが私達と同じ法華経を熱心に読む事、また民族の文字がいまや消えかかっている事も知り、日蓮宗に働きかけて「羅什訳法華経モンゴル語(キリル文字・モンゴル文字併記)訳」にとりかかりました。日蒙国交40周年記念の今年、ようやく完成を見ることができ、9月5日からその贈呈式も兼ねて日蓮宗身延山日蒙交流団々長として記念式典に参列してまいります。
 11月にミャンマーへ行ってまいります。無憂花基金では、ミャウンミャ市のパラヒタ孤児院への援助、サイクロン被災ザラックイン小学校の再建、バゴー市郊外のデーソンパ村の貧村の子供達への支援等行ってまいりましたが、この度アウンサン・スーチーさんと面会が出来る運びとなりました。

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東京・永代供養納骨堂の春慶寺Syunkei-ji Tokyo Japan